オペラから離れて、“歌曲”という分野から一曲紹介します。
歌曲とはなにかというと、独唱曲・ソロの曲です。
オペラと何が違うのかと言うと、オペラは劇になっていますが、歌曲はそうではありません。一曲一曲が単品の作品です(~歌曲集など、ひとまとまりの作品になっているものもあります。)
有名なのは、シューベルトの「魔王」という曲は、多くの人が耳にしたことのある題名ではないかと思います。
中学校の授業で聞いて、ただただ恐ろしい曲、というイメージだけで終わってしまっている方がほとんどでしょうね。。私には残念です。涙
【シューベルトの名曲揃いです。聞いたことのある曲ばかりかな】
なぜ“魔王”が有名なのかというと、簡単に言ってしまえば
それまで歌の伴奏はあまり重視されていませんでしたが、このシューベルトの「魔王」は、ピアノ伴奏が情景や、切迫した胸の鼓動だったりを表現し、ピアノ伴奏の存在を変えた作品なのです。今まで誰もやったことのない事をやったんですね。という事で、歴史的に重要な作品とされています。
ですが、歌曲という分野には、もちろん“魔王”以外にも山ほど曲があります。
美しい詩、花咲く季節を喜ぶ歌、ひとの複雑な思いを細やかに表現した曲、などなど、詩と音楽とが織りなす作品がたくさんあります。
正直、オペラに比べて地味に思われがちですが、より多くの人に、この歌の宝物に気付き、享受していただけたらと思っています。
という事で、今日紹介するのはモーツァルト作曲の「すみれ」です。
言語はドイツ語、「Das veilchen」(カタカナをつけるなら、ダス・ファリヒェンかな)
野原に咲いている“すみれ”のお花の視点で描かれた詩は、ドイツの文豪ゲーテでの作品です。(ちなみに、シューベルトの「魔王」もゲーテの詩による歌曲です)
この曲は、沢山の曲を残した天才モーツァルトの歌曲の最高傑作と位置付けられています。
【定番ですので、1枚もっておかれても良いかとおもうCD】
野原にすみれがさいていました、ひっそりと、縮こまって それはそれは、可愛いすみれでした そこに女の子がやってきました 元気に鼻歌を歌いながら、こちらに駆けてきます (登場人物はスミレと女の子です)
あぁ!とスミレはおもいました 私が世界で一番美しい花だったらな そしたらあの女の子が胸に押しあててくれて あぁ、ほんの15分でいいんだ... (スミレは女の子に憧れていて、その思いをひっそりと嘆いています) 女の子がこちらえやってきます そして、スミレに気付かず踏みつけてしまいました! (展開がとんでもない事になりましたね・・・)
哀れなスミレは、倒れてしまいました でも幸せでした あの子に、あの子に踏みつけられて死ねるのですから かわいそうなスミレ それは可愛いスミレでした
最後はスミレは踏みつけられてしまう、というお話でした。
伴奏にも注目して聞いて頂きたいです。短い感想部分の描写、女の子が軽やかに走ってくる様子や、スミレが哀れにも踏みつけられてしまうところの和音など、詩の全てが過不足なく伴奏でも表現されています。
という事で、モーツァルトの歌曲の最高傑作「すみれ」のご紹介でした。
ぜひ聞いてみてくださいね~