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オペラ【ファルスタッフ】解説

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こんにちは。ソプラノ歌手のミミです^^

今月(2021年7月)は、東京文化会館でオペラ『ファルスタッフ』の上演があるので、

見に行かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

少し予習をされますと、さらに生のオペラを楽しめると思いますよ♪♪

このオペラは騙し、騙され、劇中劇もあるので、なかなかややこしいお話ですので、

よくある“あらすじ”では落されてしまいがちな細かい内容も網羅して解説しております。

鑑賞のお役に立てたら嬉しいです。  

   

オペラ【ファルスタッフ】解説

イタリアの作曲家ヴェルディの最後の作品であり、悲劇オペラ専門だったヴェルディの唯一の成功した喜劇です。

原作は、イギリスの劇作家シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』ですが、『ヘンリー四世』からも影響を受けています。

※悲劇→悲しい結末のストーリー
※喜劇→面白く笑える明るいストーリー

  

とりあえずの簡単なあらすじはこちらの3分動画で確認してくださいね♪

オペラ【ファルスタッフ】解説

まず、このオペラはイタリア語です。ちなみに、原作のシェイクスピアはイギリス人で、元は英語です。

ファルスタッフは、人の名前です。

この人は、騎士。騎士というのは、この物語の舞台の時代、中世では、地位があって、武術に優れて強くて、憧れの存在という感じです。でも、騎士といっても色々な人が居て、ファルスタッフは憧れの騎士様!(キラキラ)という感じではありません。太っている詩、態度も悪いのです。

【一幕】

①舞台のはじまりは、居酒屋のシーン。飲んだくれているファルスタッフ。そこへ、医者のカイウスが「昨日俺を酔わせて金をだまし取ったな!」と怒ってやってきますが、なんやかんや追い返されてしまいます。居酒屋の亭主が勘定を持ってくるも、ファルスタッフは払うお金もなく、誤魔化します。(ろくでもない奴ですね!!)

ファルスタッフはお金がないので、悪だくみを企てています。

裕福な家の奥さんである、アリーチェとメグに同じラブレターを送り、自分の魅力で手中に収めようと企てます。なぜそんなことをするのかというと、奥さんたちが家のお金のカギを握っているからです。つまりは、お金目当てなわけですね。

従者にこの手紙を持って行け、と命令するも、そんなのは出来ないと言う事をきかないので、彼らを追い出します。(仕方ないので、手紙は違う若い従者に届けさせました)

②場面は変わり、アリーチェとメグ、お互いにこんな手紙を貰ったの!と話すと、まったく同じラブレター。そこへクイックリー夫人とアリーチェの娘のナンネッタも加わって、ファルスタッフをこらしめようと決めます。

③一方で、ファルスタッフに追い出された従者(ファルスタッフはあんなんですが、騎士という立場なので従者がいるんですね)が、アリーチェの旦那さんのフォード氏に「ファルスタッフが奥さんを狙っているよ」と告げ口をして復讐を作戦します。

※従者→お付きの者、お供する部下

★この時点で、女性軍と男性軍、それぞれがファルスタッフに復讐を企てているわけですね!

★そして、ナンネッタとフェントンの恋の様子も別の路線ですすんでいます

【二幕】

①舞台はまた、最初の居酒屋です。クイックリー夫人は、アリーチェの使いの者としてファルスタッフの所にやってきました。「アリーチェは手紙に感謝して、心をときめかせている。家の主人は2時から3時は居ないから、その時間に来てください」と伝言します。喜ぶファルスタッフ!

次に、変装したフォード氏(アリーチェの旦那さん)がやってきます。フォンターナ(噴水という意味)の名前に偽っています。そのフォンターナさん、「アリーチェと言う女に恋をしているんだが、ちっとも振り向いてくれないから、代わりに彼女を口説いてくれ、お金はいくらでも払うから!」と相談します。

驚き、喜ぶファルスタッフは「もう準部はできているよ」と返すと、フォード氏扮するフォンターナさんは妻への疑いの思いでいっぱいになります。これを抑え、2人で居酒屋を出ていきます。

②家で持っているアリーチェとメグのところに、クイックリー夫人がファルスタッフがやってくるわよ!と作戦が順調である事を伝えます。ファルスタッフがやってきて、「私は昔、痩せていた」なんて歌を歌っていると、クイックリー夫人からメグがやってくる!と知らせを受け、ファルスタッフは隠れます。

メグがやってくると、今度は、フォード氏が怒ってやってきた!と伝えると、それはお芝居なの?本当なの?!と混乱。お芝居ではなく本当にフォード氏がやってきていました。アリーチェもクイックリー夫人も、みんなびっくり。ファルスタッフを洗濯籠に隠します。

フェントン氏がやってきて、ファルスタッフを探し回るが見つかりません。男女の声がするぞ!と確信して開けてみると、自分の娘のナンネッタでした。フェントンとの間柄を承諾していないので、別の怒りも増すフォード氏です。

フォード氏のその隙をみて、女性たちはファルスタッフの入った洗濯カゴを、テムズ川に投げ棄てます。

★大混乱の二幕です

★ナンネッタとフェントンの恋も、物語の本線に絡んできましたね!

【三幕】

①びしょ濡れになったファルスタッフは、また居酒屋で飲んでいます。そこへクイックリー夫人がやってきます。謝罪し、アリーチェはあなたを愛し、後悔している、と手紙を渡します。「今夜、樫の木の下に狩人の姿で来てください」という内容に喜ぶファルスタッフ。後ろでは、アリーチェ、フォード氏など皆がこっそり見ていて、「あいつは学習しないんだな」など呟いています。

クイックリー夫人が続けます。「エリーチェ様は、有名な物語に絡めてあなたに会う約束をしたいのです。樫の木の下で、悪魔の宴があり、黒の狩人は首を吊ったと信じられています。真夜中の鐘が鳴ると、暗いうめき声が響き渡るのです」

またもや罠にかかったファルスタッフを見届けて、みんなは準備に家に帰ります。

一方、最後に残ったフォード氏が、医者のカイウスに、「自分の娘のナンネッタとあなたををこの騒動に紛れて結婚させる」と話しています。それを聞いていたクイックリー夫人「そうはさせないわよ!」と舞台を去っていきます。(ナンネッタはフェントンという恋人と認められない恋をしているのですから)

次はクライマックスですが、状況を整理します。

★みんなでファルスタッフへの復讐作戦→悪魔の宴の物語の様に…

★フォード氏による、娘ナンネッタの結婚作戦→阻止する動きもあり…

この2つの作戦が重なって計画されています!

②約束の場所にみんな現れます。①でクイックリー夫人が語った物語を元にファルスタッフを懲らしめます。それぞれの役割・衣装を説明すると

  • ナンネッタ→白いドレス、妖精の女王
  • アリーチェ→黒いローブ
  • クイックリー夫人→魔女の姿
  • メグ→緑のベール
  • フェントン→黒いマント、修道僧の姿

●ファルスタッフが12時の鐘をかぞえてから、時が来たと、やってきます。指定された、黒の狩人の衣装を着ています。アリーチェと出会ったところで、メグの叫び声が聞こえます。(お芝居です)

そこから、魔女や妖精に扮した登場人物たちにファルスタッフは突かれたり、叩かれたり、ボコボコにされます。

◆ファルスタッフが妖精たちに、「太ってる人間だ」「腐っているわ!」なんて言われている中、クイックリー夫人の助けを借りて、望まない結婚をさせられそうなナンネッタと恋人のフェントンは別の場所に隠れます。

●ファルスタッフは転がされたり、チクチク刺されたり、ヘトヘト。フォード氏の合図でみんなは仮面を取り、姿を現します。信じていたフォンターナが、フォード氏だと分かってガッカリ。

◆この間に、またクイックリー夫人は、ナンネッタの身代わりにするため、ファルスタッフの従者であったパルドルフォに白いヴェールを被せます

●騙されていた事を理解し、笑われるファルスタッフは「俺のおかげでみんな知恵を絞った作戦をして、俺のおかげで賢くなったんだろ」と、皮肉を言っています。

★ファルスタッフ懲らしめ作戦がひと段落したところでフォード氏が「この騒動の締めくくりに、妖精の女王の結婚式をはじめよう。皆さん祝福してください」と、ナンネッタと医者のカイウスを結婚させる作戦を決行します

白いヴェールの人とカイウスが前に進み出ます

もう一組いるわ!と、

青いヴェールの人と黒いマントの人が進み出ます。

フォード氏のあいさつで、二組のカップルの結婚が認められました。

ヴェールを取ってみると、フォード氏はびっくり!娘とフェントンの結婚を認めてしまった事になるのですから。

最初は「裏切られた!」と騒いでいたフォード氏ですが、諦めて、娘とその恋人の結婚を祝福します。そして「みんでファルスタッフと一緒に居酒屋へ行こう!」と明るく締めくくり、大合唱で幕を下ろします。

  

オペラ【ファルスタッフ】最後に

ヴェルディ作曲のオペラ『ファルスタッフ』

内容はなんとなく理解していただけたでしょうか?

あらすじが分かった上でオペラを観れば、何倍もお話を楽しんでもられると思います♪

最後に、オペラのフィナーレの大合唱の歌詞を紹介します。なんともシェイクスピアらしい締めくくりにグッときます!

世界のすべては冗談で、人はピエロとして生まれてくる。
頭の中じゃ揺らいでるのさ、いつでも理性というやつが。
人間なんてみんな愚か者!お互いにあざけり合う。
だけど 一番たくさん笑うのは、最後に笑った者なんだ。

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