こんにちは。
数回に渡ってオペラ『魔笛』を深めてもらっています。
今日は、色々なオペラのアリアの中でも、最も
「あ、これ聞いたことあるよ!」と言う方の多い、いわゆる
夜の女王のアリア
を解説しますね☆
モーツァルトのオペラ『魔笛』の中で、夜の女王が歌うアリア(ソロの歌)は実は2曲あるんです。
①タミーノに向かって女王が、私の娘を助け出してきて!という曲
②自分の娘パミーナに、敵のザラストロを殺さないと勘当よ!と迫る曲
一般的に知られているのは②の方です。今回はまとめて二曲紹介します。
もし『魔笛』ってどんなオペラ?という方は、こちらの記事を先に読んでみて頂ければと思います。以下の夜の女王のアリアへの理解も深まりますよ!
【コロラトゥーラソプラノと言われる最も高音で歌う技術のある声種が歌えるのが、夜の女王です。こちらは、スミ・ジョーさん】
O zittre nicht ,mein lieber Sohn!
怖れる事はないのですよ、可愛いわが子よ(※タミーノに向かって言ってますが、別にお母さんではないですよ。)
穢れなく、賢く、そして健気ですね。
お前の様な若者が、この傷ついた母の心を癒せるのです
(※ここまでは、レチタティーヴォという、語りの部分です。その先は、歌になります。曲の題名としてこの続きの歌詩の部分がピックアップされる事が多いので、原語も載せますね)
Zum Leiden bin ich auserkoren
(『私の運命は悲しみに満ちて』と邦題が与えられていることが多いです)
私は苦しむために選ばれた者、娘が失われ、私の幸せは消え去りました。
あの悪者が、娘と逃げ去ったのです。
あの子のおののく姿がまだ目に残っています。
心配に震え、恐れに震え、臆しながらも努めている姿が。
私は娘が奪われるのを、ただ見ていることしかできませんでした。
あぁ、助けて!という彼女の叫び、しかしその嘆きも無駄で、私は無力でした
お前なのですよ、あの子を救い出しに行けるのは。
お前が娘の救い手になるのです。
そして、私が勝利したお前に会った時、この女は永遠にお前のものになります。
次に有名な2曲目です。
パミーナのところに現れて、ザラストロを殺しなさい!と迫ります。とーっても怒っている歌なんですよ。ご存知でしたか?!
Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen
地獄の復讐が胸の内に、死と絶望が私の周りに燃えている
お前がザラストロに復讐しないなら、
お前は永久に私の娘ではない。
永久にお前を捨て、永久に親子の血もない。
聞け!聞け!聞け、復讐の神々よ!この母の誓いを!
(とっても恐ろしい誓いでしたね!!)
【ダイアナ・ダムラウさんのCDです】
さて、夜の女王のアリア2曲をご紹介しました。
どちらも超絶技巧、とっても高い声で、しかも早い速度でメロディーを歌っていますね。こういう状態は、
とっても感情が高まっているよ!!!
とうう事を表しています。こんな風に超越してるのには感情的な、表現したい事があるのです。
ほこのオペラでもあります。この夜の女王の様に怒っているだけでなく、「結婚が決まってとっても嬉しいわ~~~」なんていう時の気持ちを表していたり、恋人が失われてどーしようもない悲しみを表したり、普通じゃない状態だよ、ってことを音楽で表しているんですね。
ということで、ただ高音が出て、ただ大きな声で歌えるのがオペラなのではなく、音楽によって感情や状況を表している事を理解してもらえると、面白みが増えるのではないかと思います。
クラシック育音楽は、美しいとか、癒されるとか、技術がすごいとかだけではなく、曲の構成され方とか、このメロディーはどういう事を表しているとか、そういうお話を特に興味深いな!面白いな!と思ってもらいたいので、話したい事はたくさんありますが、今回はこの辺で~
★☆いつも読んで頂き、ありがとうございます☆★